教室員の風景

2025年3月

先日大阪で行われました第15回日本がん・生殖医療学会学術集会で光栄にも最優秀演題賞を頂きました。

「乳がんの雌マウスを用いてmTOR阻害薬という抗がん剤でもあるお薬をシクロホスファミドという卵巣に対する毒性の強い抗がん剤と併用することで卵巣毒性を軽減し、がんの細胞増殖をさらに抑制する」という内容です。私が発表させていただきましたのは個人の業績でなく、研究チームとしての業績です。また研究、仕事に専念させてくれている家族にも感謝しています。

  私たちの研究チームは主に腫瘍医としての観点から現在の妊孕性温存技術である生殖医療を補助、補完すべく 研究をすすめております。mTOR阻害薬がほかの抗がん剤に対しても卵巣毒性を軽減させること、卵巣凍結保存においても卵巣保護作用があること、子宮毒性も改善する可能性などを報告しています。また全く別のアプローチでもがん患者様の妊孕性温存ができるのではないかと考え、研究をすすめております(下記など)。

がん患者様が治療中に抱く未来への不安や孤独は計り知れません。妊孕性温存は、単なる医療的選択ではなく、患者様が未来に夢と希望を持ち続け、がん治療に前向きに立ち向かっていただくための大切な手段です。私たちの研究チームは今後も小児・思春期・若年成人がん患者様の妊孕性温存に少しでもお役に立てる技術の礎となれるように研究をすすめてまいります。